アメリカ元副大統領のアル・ゴアさんが「持続可能な資本主義」という新モデルを立ち上げた。

アル・ゴアとゴールドマン・サックスの元CEOデービット・ブラットが資産運用会社ジェネレーション・インベストメントを創設した。

現在の危機の源は、第2次世界大戦後に欧米と日本を高度成長させた経済モデルが時代に合わなくなったことと、生産と消費の中心がアジア、特に中国にシフトしつつあることである。

深刻な危機を打開し、無限の可能性を切り開くには、長期的な視点での思考が必要。「地球を脅かす破滅的な危機は、気候変動、水資源の枯渇、貧困、感染症、所得格差の拡大、都市への人口集中、市場の大幅な変動など。未曾有の危機を克服するために必要な資本の大半は、最終的には企業と投資家が動員することになる。

企業や投資家がすぐに採用すべき5つの重要アクション。

    “ストランデッド・アセット(取り残された資産)”の価値を算定し、財務諸表にいれること。ストランデッド・アセットとは、「炭素排出や水の消費のコストを算定すると、数字が変わる可能性がある資産」のことである。

    国際統合報告委員会(IRS)が推奨する環境・社会的コストを組み込んだ会計報告を企業に義務づけること。

    四半期ごとの業績報告を廃止すること。「投資家も、より長期の、より意義のある企業努力を評価するべきだ」。

    上級管理職の報酬体系を持続可能な実績に報いるものに改善すること。

    “ロイヤリティー・ドリブン(忠誠心を育む)“証券を発行し、長期投資に経済的なメリットがあるようにすること。「市場の評価が激しく変動し、長期的な価値創出を目指す経営陣の足を引っ張っている」。

 

資本主義の再構築プロセスは、今後20年、50年続く可能性もある。

 

日経エコロジー3月号P75 Byジョン・エルキントン(英、研究機関、サステナビリティ社の共同創業者兼エグゼクティブ・チェアマン。企業の社会的責任や持続可能な発展に関する権威。)

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今、世界を混乱に陥れている、「短期的な利益を求めるマネーゲーム経済」を諌めることを、具体的な制度として提案されている。このような提案がアメリカから発せられ、英国人の記事で知ることになることが悔しい。

マイケルEポーターも、ハーバードビジネスレビュー誌の中で、短期的な利益を求めるマネーゲーム経済を見限る発言をしており、既に欧米の知識人の間では大きな流れになっている。

日本のエコノミストからも、このような視点でのオリジナルな提案が出てきて欲しい。