東工大・先端エネルギー国際研究センター(AESセンター)の第2回シンポジュームが、9月28日くらまえホールで開催された。
第1回は、東日本大震災の前日の3月10日であった。その時点では、原発で電気エネルギーの50%確保することを前提にエネルギー政策が組み立てられていた。
それを前提に、低炭素社会に向けた取り組みが語られ、柏木センター長からは、その日の午前中に、「再生可能エネルギーの買い取り制度案」が閣議決定されたとの報告があった。
その後、再生可能エネルー買い取り制度原案は多くの裁量の余地の分を付加されて、一部骨抜きになって、法案化された。変更内容については、9月23日の毎日新聞の論点で、柏木センター長が解説されている。
<シンポジュームの狙い>
3月11日の東日本大震災とそれに伴う福島第1原発事故は、人の絆や地域、産業活動や社会、文化の在り方まで、日本の姿をがらりと変えるほど大きな衝撃をもたらしました。とりわけ日本のエネルギー戦略と電力需給の在り方は、大きな見直しを迫られています。そのとき新しいエネルギーシステムのキーワードになるのが「分散型ネットワーク」と「スマート化」です。
東京工業大学ソリューション研究機構の先進エネルギー国際研究センター(AESセンター)は、エネルギーの大消費地である都市のスマート化について、実現の方策や日本のエネルギー戦略の中での位置づけなどの議論を深めるために、3月10日に開催した第1回に続き第2回シンポジウムを開催します。産業界をはじめ各分野の専門家を招き、講演・パネル討論を催すとともに、低炭素社会の実現を目指すAESセンターがこの分野にどう取り組んでいるかについても報告します。
<講演プログラム>
13:30 開会挨拶 柏木孝夫 先進エネルギー国際研究センター長
「震災後のエネルギー戦略とAESの役割」
14:00 基調講演 村上周三 (独)建築研究所 理事長
「サステナブル時代の都市づくりと日本再生」
14:45 講演 渡邊 宏 (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事
「スマートコミュニティの現状と将来展望」
15:45 パネル討論
「スマートコミュニティをどう実現するか」
パネラー: 高野之夫 豊島区長(議会出席のため、メッセージのみ)
竹中章二 東芝 スマートコミュニティ事業統括部執行役常務待遇首席技監
中井検裕 東京工業大学 教授
一色誠一 JX日鉱日石エネルギー 専務執行役員社長補佐
筒井清志 NTTファシリティーズ 代表取締役副社長
村木 茂 東京ガス 代表取締役副社長エネルギーソリューション本部長
小島信明 三菱商事 常務執行役員地球環境事業開発部門CEO
コーディネーター:中上英俊 東京工業大学 特任教授 / 住環境計画研究所 代表取締役所長
17:35 総括 平井秀一郎 東京工業大学教授
基調講演で、基礎研究所理事長・村上先生は、まとめとして
1.低炭素化の制約の下でのQOLの向上
・20世紀型の大量消費文明の克服
・核エネルギー利用縮減という新たなトレードオフ問題の発生
2.サステナブル時代の都市づくりに求められる価値観の転換
・ハード、ソフトの両面からの超省エネ型ライフスタイル
・キーコンセプトとしての、スマート化とスリム化
3.日本再生に向けて、スマート化/スリム化の理念に基づく新しい都市づくり
・環境未来都市構想への期待
講演で、NEDO渡辺理事は、
スマートコミュニティー実現のためには、
・これまでの要素技術開発に加えて、情報通信技術、新エネルギー・省エネルギ-技術、エネルギー貯蔵技術など様々な分野を横断的に融合させて、一つのパッケージとして展開していくことが必要。
・個別技術やそのすり合わせによる最適化は日本産業界の得意分野。
・スマートコミュニティーの形は、政治・経済・産業の状況、そこで暮らす人々のライフスタイルや文化、地理・気象条件など、国・地域ごとに多種多様であり、特性に合わせた実証が重要。
・NEDOは今後も、国内外で様々な形での実証を手がけていく。
⇒スマートコミュニティー(JSCA)を中心として、情報・通信、電気機器、電力・ガス、自動車、建設、商社、、自治体、大学等の関係団体での連携を強めて、海外へ展開していくことを期待。
パネルディスカッションでは、
「スマートコミュニティをどう実現するか」の観点で、各界を代表する経営責任者の方々から取り組みの紹介があった。
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